2007年-東南アジアの旅 (タイ-アユタヤ遺跡)
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午前5時、トゥクトゥクに揺られて、フアランポーン駅を目指していた。6時ごろ発の列車にのり、アユタヤに向かうために。ちなみに、今日はバタバタな1日だ。10時にアユタヤを出ないと、タイとカンボジアの国境、アランヤプラテート行きの列車に乗ることができなくなっちゃうからだ。アユタヤ滞在は、およそ2時間。観るところはしっかりと列車の中で決め、(自分なりの)万全の準備をし、アユタヤ駅に降り立つ。ターゲットは、ワット・マハタートとワット・ロカヤスタ。時間があれば、ワット・プラ・シー・サンペットも観れればいいな、と思っていた。
アユタヤ駅からアユタヤ遺跡までは、直線距離にして約3km。大きな川を挟むため、移動は少々面倒。まずは徒歩でパサック川の渡し船乗り場へ向かう。向こう岸まで3バーツ。安い。川に落ちないかしら……、という不安に苛まれつつ、ほんの数分で対岸に到着。危ないことは全然なかった。しかし、一般旅行者を見かけない。渡し船に乗っていたのは、僕を除いてすべてタイ人である。この疑問はあとから晴れることになる。対岸に渡ったら、すぐに自転車を借りた。たしか50バーツだったと思う、記憶が曖昧。チャリンコをぶっ飛ばし、とりあえず近場の目的地、ワット・マハータートへ向かうことにした。
アユタヤ遺跡に到着し、なぜ渡し船にタイ人ばかりいたのか漸くわかった。観光客の大多数がバスに乗ってやってきていたからである。ツアー客がほとんどを占めている、個人で訪れている人はほとんど見られなかった。疑問が晴れ少しすっきりしたところで、いよいよ海外の初遺跡にいざ入らんとする。意気揚揚と入ろうとした矢先、急に呼び止められた。そこで、30バーツ払えと言われる。バッグからそっとお役立ちアイテム『地球の歩き方~タイ~』を取り出し、アユタヤのページを見てみる――なるほど、確かに見学代30バーツとある。ここは、素直に料金を支払う。
いよいよ、遺跡が目の前に広がる。列車の中で訪れる遺跡を調べているくらいだから、もちろん時代背景はあまり詳しくない。ガイドもいないので、肌で遺跡を感じるだけ。ただ、それだけでも十分に楽しむことができた。でっかいなぁ、ずいぶん昔の寺院なのによく形を残しているなぁ、ありきたりの感想がダダ漏れになる。そして、どこかで観た光景が目に飛び込んでくる。それは、木に取り込まれてしまった仏像の頭部。なんで木に取り込まれてるの? これもビルマ軍の仕業? 疑問符が点々と浮かんでは消える。そういや、この頭部のところで写真をとるときは、この頭部よりも自分の頭を低い位置に置かねばならないらしい。写真は自分の目に映る景色のみ、自分自身の姿がフィルムに収まることはない。記念撮影している人たちを見ながら、その場を去ろうとしたところで、ツアーのおばさまが登場です。「お兄さんひとりでしょ? 撮ってあげるわよ」、言葉が投げかけられる。せっかくなので、1枚撮ってもらうことに。何気に良い記念になりました。
お次に訪れたのは、ワット・ロカヤスタ。ここは、入場料無料。実は、ここに訪れるまでに少し道に迷ったりした。一度入りかけて引き返した道が、実は正解だったとは……。仏像の大半は破壊されてしまったという。しかし、頭部と足はしっかりと残っている。逆に、この部分さえ存在していれば、仏像の姿は容易に想像できる。
滞在時間が少し余ったので、最後にワット・プラ・シー・サンペットを覗く。もう、5分くらいしか観ることができなかった。でも、5分で十分だった。見所はただひとつ! 遠くからでも望む事のできる高い仏塔。高さは16メートルらしい。それが、3基並んでいる。とても壮観だ。これで、雲がもっと晴れ、青空が広がっていたら、写真に何枚もおさめたくなるような絵が広がっていただろう。
あっという間に時間は訪れる。元来た道を戻り、アユタヤ駅を目指す。10時発バンコク行きの電車に乗るために。アユタヤ遺跡滞在時間は短かったが、自分なりに観てまわれたと思う。もう少し時間があったとしても、おそらく同じ寺院を長居するだけなような気がする。機会があれば、次は、スコータイまで足を伸ばしてみたい。
さて、アランヤプラテートまでの列車の旅は特筆すべきことはなかった。5時間乗車だったがバッグを守りつつも、不用意に寝ちゃったりしていたので、時間の過ぎるのは案外早かった。アランヤプラテートに着くと、既に国境開放時間は過ぎていた。とりあえず、300バーツのG.H(ゲストハウス)で一夜を過ごすことにする。列車の中で寝ていたにも拘らず、睡魔はすぐにやって来た。